別府マンション事件 再度最高裁判決

2011年7月21日再度別府マンション事件の最高裁判決があった。

別府マンション事件とは別府に平成2年に建てられた鉄筋コンクリート造り陸屋根9階建て建物(9階建て部分と3階建て部分とが接続した構造)で、ひびや、たわみなどの瑕疵が多数あることに対し建築会社の不法行為責任の有無、設計者の不法行為の有無、そして不動産仲介業者の責任の有無を争った事件(そのほか請負契約における瑕疵担保責任の移転はあるかという争点もある。)

第1審である大分地方裁判所の判決では、建築会社等に対し瑕疵補修費用の支払いが認められたが、第2審である福岡高等裁判所では、当該物件の所有者Aの請求は棄却された。

福岡高裁の棄却の理由は、「本来瑕疵担保責任の範疇で律せられる分野において、安易に不法行為責任を認めることは法が瑕疵担保責任を定めた趣旨を没却する。請負の目的物に瑕疵があるからといって当然に不法行為の成立が問題になるわけではなく、その違法性が強い場合であって、たとえば請負人が注文者等の権利を積極的に侵害する意図で瑕疵ある目的物を作成した場合や、瑕疵の内容が反社会的あるいは反倫理性を帯びる場合、瑕疵の程度・内容が重大で、目的物の存在自体が社会的に危険な状態である場合等にかぎって不法行為責任が成立する余地が出てくる。」当該建物はそのような違法性が強い建物とは言えない(建築会社等が所有者の権利を積極的に侵害する意図で瑕疵を生じさせたというように事情は認められない。また本件建物に瑕疵は存在するが、いずれも建物の構造耐力上の安全性を脅かすまでのものではなく、それによって本件建物が社会公共的にみて許容し難いような危険な建物になっているとは認められない。)という結論だった。

これに対して所有者Aは最高裁に上告を行い、平成19年7月最高裁では、上記福岡高裁の判決を破棄し福岡高裁に差し戻す判決を言い渡した。

その理由は「建物は建物利用者や隣人、通行人などの生命、身体又は財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければならない」、「建物の建築に携わる設計者、施工者らは、建物の建築に当たり、契約関係にない居住者らに対する関係でも、当該建物に建物としての基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負っている」というもの。

しかし福岡高裁では再度、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」とは、建物の瑕疵の中でも、居住者等の生命身体または財産に対する現実的な危険性を生じさせる瑕疵をいうもの解されるが、本件建物では居住者等の生命、身体または財産に現実的な危険が生じていないということで、不法行為に基づき損害賠償請求を棄却するべきものとした。

今回の最高裁判決はその福岡高裁に対する再度の上告になる。

最高裁判決は、

「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵とは、居住者等の生命、身体または財産を危険にさらすような瑕疵をいい、建物の瑕疵が居住者等の生命、身体または財産に対する現実的な危険をもたらしている場合に限らず、当該瑕疵の性質に鑑み、これを放置するといずれは居住者等の生命、身体または財産に対する危険が現実化することになる場合には、当該瑕疵は、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵に該当すると解するのが相当である。」として、

再度原判決は破棄差し戻しが行われた。

これによって福岡高裁では3度目の審理が行われることになる。

エンドユーザー側に立って仕事をしている身としては、もちろん最高裁判決を支持するが、平成2年に建てられた建物についていまだに争わなければならないという現実はどうなんだろうか。
せっかく最高裁判決が出ているにもかかわらず、これではエンドユーザーの保護にはなりにくい。

参考ページ

別府マンション事件 再度最高裁判決

最高裁第1小法廷 判決全文 別府マンション事件 再度最高裁判決 http://tamutamu2011.kuronowish.com/jyuutakunokasi721.htm

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